接吻ーkissー
「さっき、“竜之さん”って言ってたから」

そう言った後で由良は息を吐くと、
「何でわたしが言わなきゃいけないのよ」
と、呆れたように言った。

そりゃ、そうか…。

心の中で呟いた私に、
「で、その人と何があったの?」

由良は聞いてきた。

とりあえず、話は聞くんだ。

「当たり前でしょ。

璃音に何かあったって言うのに、それを見過ごすなんてどうかしてる」

私は由良に話をした。

由良がどう言葉を返すかわからないけど、話さないよりかはまだマシだと思った。

「そう」

話を聞き終えた由良は、小さく返事をした。
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