接吻ーkissー
“菊地竜之”って言う名前のバーの雇われピアニスト。

その人と話をして、ピアノの演奏を聞いて、かわいいって言われて…おまけにメアド交換もした。

この携帯電話に、彼のメアドが入っている。

そう思うと、携帯電話にさわることすらできなかった。


「――璃音、何かあった?」

「…えっ?」

私の目の前には、由良がいた。

そうだった。

今は由良と昼休みを過ごしているんだった。

誰もいない屋上には、由良と私の2人だけしかいない。

冬の訪れを感じさせる温かい日差しが、地面に長い影を作っていた。
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