接吻ーkissー
「んーと、Pの155と156は…ああ、ここだ」

どちらかと言うと、後ろから数えた方が早い席だった。

私たちはそこに腰を下ろした。

「結構いい席でよかったな」

そう言った菊地さんに、
「そうですね…」

私は答えた。

確かに上からステージを見ている訳だから、いい席と言えばいい席かも知れない。

隣には菊地さんがいて…うわーっ、何だか緊張する。

さっきからすごく心臓がドキドキとうるさい。

だって、いつもと雰囲気が違うんだもん。

髪はオールバックじゃなくて、下ろしてるから…。

いつもと同じようにオールバックでいいのかと聞かれたら…やっぱり、心臓のドキドキは変わらないだろう。
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