接吻ーkissー
って言うか、何かしゃべらなきゃ!

座ったのはいいけど、私たち2人を包むのは沈黙だった。

えーっと、えーっと、
「き、菊地さんは」

「んっ?」

「いつからピアノを、始めたんですか?」

やっと私の口から内容が出てきた。

しゃべっている時も、心臓は落ち着かなかった。

口から心臓が飛び出しそうと言う表現の仕方は、まさに正解だと思う。

「んー、始めたきっかけかあ…」

菊地さんは考えるように天井をあおいだ後、顔を戻した。
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