接吻ーkissー
ステージには、キレイに磨かれた白いグランドピアノがあった。

燕尾服を着た男の人がピアノの前の椅子に腰を下ろすと、鍵盤に指を乗せて激しく弾き始めた。

この曲、お菓子のCМで聞いたことがある。

「『革命』だ」

菊地さんが小さな声で教えてくれた。

そう、『革命』と言う曲だ。

両手は鍵盤のうえを忙しそうに動き回っている。

すごい…。

あまりのスピードに、視線が追いつかない。

何、あれ?

あの人、人間なの?

そう思っている間に、いつの間にか演奏が終わっていた。
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