接吻ーkissー
ドキッと、心臓が鳴った。

シン…と、菊地さんの声が静かに耳に染みて行く。

何よりもドキッとしたのは、私を見つめる彼の瞳だった。

あまりにも真剣で、でもキレイで…うっかりしたら、吸い込まれてしまいそうだ。

当たり前だけど、瞳の中にいるのは私ただ1人だけだった。

「――菊地、さん…?」

私が名前を呼んだら、彼ははにかんだように微笑んだ。

ああ、もう…。

ドキドキと、心臓が鳴り始める。

菊地さんがそんな顔をしたからだ。

そう思っていたら、彼の唇が開いた。

「俺と、つきあってくれないか?」
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