接吻ーkissー
菊地さんが言った。

ああ、セミダブルか。

「狭いシングルに2人とかって言っているのは25まで。

ダブルは結婚した夫婦専用と相場が決まっている。

だからセミダブルなんだ…って、何で独身で1人暮らしの男の独り言を言わせてるんだよ」

ポスッと、背中にマットレスの感触があった。

上は天井じゃなくて、菊地さんの顔だった。

彼がジャケットを脱いだと思ったら、それはスルリと手から離れて下へと落ちて行った。

その一連の動作がキレイで、つい見とれてしまった。

頬に菊地さんの指が触れたと思ったら、また唇が触れた。

チュッ…

部屋に、唇同士が重なった音が響いた。
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