接吻ーkissー
この声は、一体何なの?

自分が出しているとは、とても思えなかった。

「――ひゃっ…!」

これ以上声を出させないためにも、すぐに手で口を塞いでいた。

「――ッ、くっ…!」

声を押し殺していたら、
「何やってんの?」

菊地さんが不思議そうに聞いてきた。

「――だって、声が出てきちゃって…。

それで、恥ずかしくて…」

呟くように言い訳をした私に、クスリと菊地さんが笑った。

笑われた私は、ますます恥ずかしくなった。

「別に、恥ずかしがる必要はあるまい」

そう言われた後、塞いでいた手を菊地さんにとられた。
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