今宵は天使と輪舞曲を。
メレディスの後頭部にあった彼の手は巧みに動き、口角を変える。すると彼との唇の接合はより深くなり、メレディスの全身に向かって電流のようなものが駆け抜ける。
ああ、彼はなんて力強いのかしら。ラファエルからはまるで百獣の王たる獅子のように雄々しく、それでいて何もかもを包み込む強固な強さを感じた。
メレディスにとって、今まで一八年の間生きてきた年月で知り得る限りの代表的な男性といえば父親のみだ。それも一四歳までの記憶の中でしかない。それだけに、若々しい肉体を持つラファエル・ブラフマンという男性に驚きと、それからほんの少し怖じ気づきそうになる。
けれどもメレディスが彼の腕から逃げなかったのは、驚きやほんの少しの恐怖以上に彼との口づけをもっと味わいたいと思ったからだ。
このまま、もう少し彼の唇を味わいたい。
口づけを止めないでほしい。
その思いがメレディスを突き動かす。彼の背に回している両腕に力が入った。同時に喉の奥からうめき声が漏れる。
目の前の男性に目が眩む。腰に力が入らない。それを知っている彼は、二本の太い腕がメレディスの体を引き寄せる。
メレディスは倒れそうになる体を彼に預け、目の前にいる力強くて雄々しい男性にすべてを委ねた。まるでそうすることが当たり前のように振る舞う。
メレディスはうめいて彼の背を撫で続ける。
すると腰を支える太い腕から筋肉が動くのを感じた。今夜、彼女が着ているドレスは若干背中が開いている。体を締めつけるコルセットは前に紐があるタイプで腰の部分を固定していた。