今宵は天使と輪舞曲を。

 彼の指がドレスの間の割れ目を見つけた。素肌を撫でられ、メレディスはさらにうめいた。その声を引き金にして、彼は胸の膨らみに手を滑らせる。頂きがあるだろう箇所を見事に探り当てると、ドレス越しから爪を立て、まるで形状を知っているかのように円を描き、なぞる。

 それはほんの少しの刺激にすぎない。それなのに、ふたつの頂きはまるで彼の指に呼応するかのように膨れていく。

 同時にメレディスの体内にくすぶっていた炎が大きくなるのを感じた。

 発火しそうなほど体が熱い。春になったばかりの気候はまだ冬の寒さも残っているというのに、今は気温さえも考えられないほどだった。


 このまま、彼の手の感触を感じたい。今のメレディスにはここがどこなのかも大した問題ではないように思えた。ドレス越しではなく、直接触れてほしい。今以上にコルセットほど邪魔な物はない。メレディスは自分の体に纏わり付くコルセットに対して苛立ちさえも感じた。

 息ができないほど胸が苦しいのに、止めてほしいとは少しも思わない。この先に何が待っているのかは分からないが、とにかくこの行為を止めてほしくなかった。

 メレディスの呼吸が荒くなると、彼はメレディスを落ち着かせようと思ったのか、胸に固定していた手を彼女の背に回し、うなじの後れ毛に長い指を絡ませた。彼の指がメレディスの肌をなぞる。

 なぞられた首の後ろがちりちりする。じれったい感覚にメレディスはいっそうの甘い声を上げた。


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