今宵は天使と輪舞曲を。
そう自分に言い聞かせ、ラファエルから意識を遠ざけようとするメレディスだが、そういう時に限って思い通りにならないのは世の常だ。
普段は自ら声をかけたがらない従妹のヘルミナが、よりによってメレディスに楽しげに話しかけてきた。
以前とは打って変わって彼女の顔色はすっかりよくなっている。それどころか頬は薔薇色に染まり、くりっとしたまん丸い目は虚ろで、話しかけてきたのは彼女の方なのに、まったくメレディスを見ていない。
「ねぇ、聞いてちょうだい。わたしを可愛いと言ってくれる殿方がとうとう現れたのよ! その方ね、お姉さまのように細身でなくても今のままで十分だって……そう言ってくれたのよ! 信じられる? ああ、夢のようよ」
ヘルミナは両手を胸の前に重ねたまま、そう言った。
「へぇ、そう。それは良かったわね」
メレディスは手にした箒を動かすのを止めて忌々しげに足の爪先をとんとんと床に鳴らした。
「貴方、今日はどうしたの? とても腹を立てているようだけれど」
そう思うのならそっとしておいてほしいものだ。
「そう? 貴方が機嫌がいいから余計にそう思うんじゃないかしら!」
メレディスが忌々しげに口を開けば、
「きっと栄養が行き届いてないのね、可哀相に。もっとたくさん食べればいいのに」
彼女の言動はメレディスの感情を逆撫でするばかりだ。気の毒だというふうに深いため息をついた。