今宵は天使と輪舞曲を。
いったいどの口がそれを言っているのだろう。
食べられないのは親戚たちが自分に必要な食料を分けてくれないからなのに!!
「わたしは忙しいの。そこ、どいてくれない?」
叔母といい、まったく。どうしてみんなわたしを放っておいてくれないの!?
メレディスはふたたび箒を握り締めると身振りを大きくしてヘルミナの周囲をわざと掃いて彼女を調理場から追い出した。
――時間が過ぎるのは早いものだ。メレディスはいつも以上にてきぱきと動き、屋敷中をぴかぴかにするとさっさと着替えも済ませて馬車に乗り込んだ。今夜の叔母はメレディスの鋭い異様な剣幕に怖じ気づいているのか、おかげで何も言ってこなかった。
メレディスは姿勢を正し、上手くやってみせると唇を引き結ぶ。
斯くして会場に到着した一行は、それぞれの役目を果たすため各々の配置についた。
「やあ、ミス・トスカ」
いつものように壁際に移動したメレディスを待っていたのは、日常とはかけ離れた彼、ラファエル・ブラフマンだった。
長身でイブニングコートを着ていても分かる引き締まった肉体。濃いめの金髪に緑の目をした彼は相変わらずハンサムだ。たとえひとりの人間をチェスの駒のように軽々しく扱う残酷な人間だったとしても、人を惹きつける力は健全で、メレディスを翻弄する。
だけど騙されてはいけない。
デボネ家だけでも十分なのに、利用されるのはもうたくさんだ。