今宵は天使と輪舞曲を。
「いた! ラファエル!!」
ラファエルが唇に触れる。ほんの直前だった。張りのある、それでいて鈴が転がるような、凜とした女性の声が聞こえてメレディスは身動いだ。
途端に彼のたくましい腕の感触は消え、体は熱を失う。
季節は春なのに、まるで自分だけが冬の寒さに包まれたような。
季節が逆戻りした気分になった。寒さのあまり両腕で体を包み込む。
せっかく口づけられる寸前だったのに、どうして邪魔が入るのだろう。
新たにやって来る足音に苛立ちさえおぼえるが、今さらそんな気持ちがあることに自分自身が驚いていた。
「アルー……」
ラファエルの呟きに足音がやって来る方へと向けば、見たことのある女性にはっとした。
メレディスよりもほんの少し背が高く、健康的な肌の色は透明。女性らしい肉体を賞賛するかのように波打つ金の髪が伝っている。
以前、彼の屋敷の前でラファエルと抱き合っていたあの女性だった。
彼女はラファエルの前に颯爽と現れると抱擁を交わした。
「ベスに聞いたらここだと言われたの」
ここへ来た時と同じ声音で彼女は続けた。
細身だがふくよかな胸、それに腰まであるブロンドの彼女は完璧だ。
ラファエルと並べば間違いなくお似合いだった。
「連絡をくれたら迎えに行ったのに」
「貴方を驚かせたかったのよ。準備は整ったわ」
「もう?」
「ええ、さっきほんの一時間前に。完璧よ!」
彼女は美人なだけでなく、チャーミングでもある。
彼女は肩を竦めた。