今宵は天使と輪舞曲を。
「ああ、君っていう人はなんて――」
ラファエルは彼女の言葉を聞くと、感極まった様子で両腕にその体を収めた。
仲が良い姿を目の当たりにしたメレディスはますます身の置き場所に困った。
胸が痛い。押し潰されるようだ。
邪魔をしているのは彼女ではない。自分の方なのだ。
メレディスはようやく自分の立場を理解した。
「では、わたしはこれで――……」
茶目っ気もあって可愛らしい彼女。
ラファエルとお似合いだ。
いったい自分はどうやって彼女と張り合おうと思ったのだろう。
太刀打ちなんてできるはずがないのに身の振り方も弁えずにいた自分が恥ずかしい。
つい先ほどまであった体の熱も、みぞおちにあった疼きも消えた。
胸がじくじくと痛んでいる。
悲しみのあまり呼吸さえ浅くなる。
急に息苦しくなったメレディスは胸を押さえ、その場から去ろうと踵を返した。
「待って、メレディス」
メレディスが立ち去ろうとするものの、ラファエルに引き止められた。
もしかして、彼はここで終止符を打つつもりなのだろうか。
彼女の目の前で。
自分とはただの火遊びに過ぎない。自分が愛してるのは彼女の方だと告げられるのだろうか。
メレディスは覚悟しなければならなかった。
――そうね、それがいいわ。道理に合っている。
自分も彼の愛人としてずるずる引き摺るのは良くないことだ。
メレディスは泣かないように一度強く目を閉じ、開けた。
若干、視界が歪んでしまうのは仕方がないことだ。それだけ彼を強く想ってしまった。