今宵は天使と輪舞曲を。
ヘルミナが木戸を開けると、木の軋んだ音と共に軽やかなベルが鳴った。周りをよく見渡すためにフードを下ろせば、すぐに真向かいに座ってスコッチを飲んでいる彼と視線が合った。
相変わらず彼はここにいるどの男性よりもずっとたくましい。普段よりも肌がほんのり赤く色づいているのは恐らくアルコールが入っているからだろう。
「待ち焦がれてどうにかなってしまいそうだったよ」
ヘルミナを見つけた彼は大きな鷲鼻をさらに膨らませ、笑顔で出迎えてくれた。ヘルミナもまた、「わたしもよ」と話し、分厚い胸板に手を這わせた。
再会した愛し合うふたりがまずすることはひとつしかない。
彼はヘルミナの手を取ると二階へと誘う。途中にある階段はヘルミナが足を動かす度にぎしぎしと軋みを上げている。どうやら床がところどころ腐っているようだ。それでも今のヘルミナにとって、この古びた階段は高価な大理石のようにも思える。
部屋に到着するなり絡み合うようにベッドへと体を沈ませるふたりは、熱い口づけを何度も交わした。大きな手が胸元にあるボタンを器用に解いていく。そうするとふくよかな胸の谷間が少しずつ開いていった。彼の熱い視線ですっかり火照っているヘルミナの呼吸は速い。それに伴って、開かれた胸もまた、上下を繰り返していた。
「窓が開いているわ」
あんなに彼との再会を待ちわびていたヘルミナがそう言ったのは、とにかく彼から与えられるすべてを全身で感じたかったからだ。