今宵は天使と輪舞曲を。

「ラファエルは必ず捜し当ててくれるわ」
「いいや、そうはならないさ。なにせこの世界には君よりもずっと美しい女性がごまんといる。ブラフマン家の次男ともあろう者がいつまでも君ほどのちっぽけな女性に夢中になるはずがない」

 メレディスはぐうの音も出なかった。ルイスが口にしたそれこそがメレディス本人が常に思っていた言葉だったからだ。

「結果がすべてだよ、ミス・トスカ。仮に奴が君を諦めなかったとしても、虚実を事実に書き換えれば良いだけの話だ。君とおれは恋仲だったのにブラフマン家の次男が伯爵という爵位をぶら下げて君をたぶらかし、横取りしたと言えば、奴らは喜んでそれを記事にするだろう。後はゴシップ好きの貴族共が勝手に広めてくれる。ゴシップは単なる噂では無くなって真実になるのさ」
 指が弧を描き、内壁を掻き分けて中へと沈ませてくる。

「ああ、実に悦い感触だ。こんなにも敏感になってくれるなんて嬉しいよ、ミス・トスカ……」
 指が中で掻き出されるたびに水音が弾き出される。メレディスの体はルイスの指をラファエルだと勘違いしているのだろうか。それなのに心はまったく別物だった。胸が締めつけられるような痛みが彼女を襲う。これから自分が抱かれるのは最愛の男性ではない、人を駒のように扱う卑劣な男なのだと思えば胃から込み上げてくる吐き気が止まらない。


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