今宵は天使と輪舞曲を。

「奴の言葉に従ったんだな?」と、ラファエル。

「ええ、でも貴方が阻止した。誤算だったのは貴方がすでにメレディスを想っていたことだった。てっきりメレディスの片想いだと思ったのに――これには焦ったわ。そして最悪だったのは、わたしの差し金で貴方たちの仲が深まってしまったことよ。だから次こそは失敗しないようにしようと念には念を入れることにしたの。もう二度と、失敗しないように……そうしたら絶好のチャンスが巡ってきたわ」
「ぼくたちブラフマン家とメレディスを含めたデボネ家が乗馬をするっていう提案だね」
「貴方たちはわたしが怪しいと思いはじめていたでしょう? 疑われているのは分かっていたわ。今、わたしが軽々しく動けばきっと証拠を掴まれてしまう。だから姉さんを利用することにしたの」
 ヘルミナの目がジョーンを射抜く。
 ジョーンは顔を顰めた。
「わたし、姉さんも大嫌いだったわ。いつでもどこでも愛想良く振りまいて、美人なのをいいことにあらゆる男性を虜にしていた。わたしはいつも美人な姉さんとの比較対象でしかない。美人な姉と打って変わってぽっちゃりした体型のわたしはいつも道化。わたしは姉に華を持たせるための道具でしかない。だから復讐も兼ねて、計画したのよ。貴方の馬丁を利用して、当日、メレディスがどの馬に乗るのかを聞き出したわ。でもメレディスの馬はとても厳重に管理されていて、なかなか近づけそうになかった。だからラファエル、今度は貴方をターゲットにしたの。ジョーンにラファエルの馬をメレディスの馬だと偽り、馬酔木を仕込ませたわ。途中まではうまくいったのに――」


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