墜ちた羽根
「あ、大丈夫?」
「大丈夫だ……ありがと」

我に返り、オウヤ君を解放した。
呆然とした様子のオウヤ君の口からは、
また珍しくお礼の言葉が聞こえてきた。
お礼を言われるとこっちまで恥ずかしくなってしまう。

「ほら、もう帰ろう?」
「そうだな」

恥ずかしさを悟られないように、家に帰る事を促した。
家に帰るまでの間、私もオウヤ君も何も言葉を口にはしなかった。
ただただ沈黙が流れるだけ。
< 64 / 117 >

この作品をシェア

pagetop