大江戸妖怪物語
「なにやら家が騒がしいと思い見てみればこれだ。お前は目の前に
鶏がいると食べようとする習性でもあるのか?」
「・・・そんな野人みたいなことはしません」
「してたではないか」
「・・・すんません」
論破された。
「いや、でも茶々が僕に攻撃を・・・」
「何を言っている。こんな可愛い鶏が人を襲うわけないではないか」
雪華は茶々を高い高いして、地面においた。雪華の脚にここぞとばかりにスリスリと顔を撫で付ける茶々。羨ましいぞコノヤロウ。
「今は茶々にちょっかいを出してる場合ではない。今大事なのは、山姥を倒すことだ」
雪華は座布団に座り、急須からお茶を湯呑に汲んだ。
「はーあ。山姥ってどんな奴なんだろう。やっぱこう、白髪で肌はボロボロ、鬼の形相してるんだろうな」
「山姥といえど全てそうとは言えないがな」
「どういうこと?」
「全くお前は馬鹿だな」
雪華に自分の脳みそを馬鹿にされた。
「まあそれはどうでもいい。それとさっき、村長の侍女から連絡がきてな、もう行ってもよいそうだ」
「こんな昼間からいいのかな?晩餐会は夜からだけど・・・」
「私たちに色々と聞きたいことがあるらしい。何の要件かは知らぬがな」
僕と雪華は源一さんの家を出て、村長の家へと向かったのである。