大江戸妖怪物語
「これは本当にお前が作ったのか?」
「あ、うん。あまり材料ないから適当だけど・・・」
雪華は出来上がった料理を一口食べた。
「う、うまい・・・うますぎる・・・・・・」
「その言葉・・・ちょっと聞いたことがあるな・・・」
「お前、なんの調味料を使った?チートか、チートでも使ったのか?」
「うーん・・・、普通に作っただけなんだけどな・・・」はあった
僕が作ったのは・・・まぁ、料理とか詳しくないから料理名とかはわからない。でも、油とかもないから、ほんとにさっと炒めただけだ。あえていうなら、野菜炒め?
「ただの野菜炒めだよ」
「冗談抜きで、・・・高級料亭の味がする」
「そんな大袈裟な・・・」
僕は一口食べた。
「うーん。普通だけどなー」
「これで普通とは・・・女が廃るわ」
雪華絶賛の晩飯を食べ終え、僕は今の畳にゴロンと寝転がった。
「しかし・・・山姥に会っちまうとは・・・。はッ・・・夜な夜なこの家の中まで入ってきたりして・・・?!」
「それは大丈夫だ。一応ボロ屋だが鍵があった」
「なら大丈夫か・・・」
右手で囲炉裏の火を適当にいじくり、そしてまた寝転がる。
「もし・・・あの山姥がきたら倒すんだろ?」
「当たり前だ。山姥を倒しに来たのだから」
「・・・はぁ。だよね。じゃ、明日早いしもう寝るか?」
「そうだな。雑魚寝になるが、仕方ない」
巨大蜂と戦ったり、崖から落ちたりと、今日だけで大変だったせいか僕らはすぐに夢の中に吸い込まれていった。
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・・・・・・
「またか・・・」
僕は白と黒の世界にいた。少し慣れた気がするが、ちょっとした違和感がある。『色彩のない世界』は、ふと僕のもとに訪れて、触れようとすれば消えていく、矛盾する世界である。そしていつもの少女、顔面に雑部―ノイズ―がかった彼女はそこに立っていた。
「うぅ・・・怖いよ・・・」
半泣きの僕に、雑部のかかった少女は僕の肩に手を置いた。
「大丈夫だよ。きっと家に着くよ」
これはいつのころだったか。ああ、思い出した。
僕が幼いころに道に迷ってしまった時だ。でも、あの時僕は一人だったはずだ。
「はぁ~・・・。どうしよう、お化けとか出てきたら・・・幽霊とか・・・」
「もしも幽霊が襲ってきたら、私が守ってあげる!」
少女は胸をはった。
「だって、僕、本で見たもん。夜中になったら山姥が山から下りてきて、・・・人を食べるって・・・」
「山姥なんて怖くない!怖くないって思えば怖くないよ」
雑部が顔にかかっているのおだが、少女はニコッと笑っているような気がした。
「行こう!」
「うん・・・!」
僕と少女は手を繋ぎ、夜の江戸の道を歩き始めた。
・・・んでもって、大人の僕はその様子を見つめるしかできなかった。その時、僕の頭に突き刺さるような痛みが走った。
「う、・・・ぐぁ・・・」
僕はその場所に倒れこんだ。頭の中の血管が疼く。
目の前が真っ暗になり、僕の意識は途切れた。