大江戸妖怪物語
「お、おい!戻ってきたぞ!!」
村人たちが僕たちを見つけ、叫ぶ。そして村人たちは僕らを囲むようにした。
「山姥は殺せたのか?」
「おいおい、まさか殺せなかったっていうんじゃないだろうなぁ?!」
村人たちが睨んでくる。
「初めに言っておく」
雪華が大声で言った。
「私たちは山姥を倒していない」
それを聞いた途端、村人の口から野次が溢れた。
「おい!大丈夫だったか?」
源一さんが僕らのもとに駆け寄ってきた。肩には茶々も乗っている。
「源一さん、こいつら、山姥を倒せなかったって・・・」
「だからどうした!!!!!」
村人の一人が僕らのことを中傷しようとしたが、その言葉を源一さんが怒鳴り声で止めた。
「じゃあ、お前には山姥を倒しに行く勇気があるのか?!いつ山姥に襲われてもおかしくない山の中で一晩を過ごせるのか?!自分でできもしないくせに、ボロクソいうんじゃねえ!!!」
源一さんは僕らを守ってくれた。茶々は源一さんの肩で膨らみながらその様子を見ていた。
「山姥を倒せないということは、山姥を倒しに行った勇気あるものだけができる行為なんだ。俺やお前らは山姥を倒すどころか、むしろ脅えているだけじゃないか!子犬のように、逃げているだけじゃないか!!」
「まったく、騒がしいぞ」
外の声が聞こえたらしく、美藤さんが出てきた。それに続いて亜紗子さんも出てくる。
石畳の上に美藤さんは立った。
「騒いでいる様子を見ると、どうやら倒せなかったようだな」
冷たい視線で美藤さんは言った。
「ッ・・・」
「言い訳など聞き苦しい!早く村から出て行ってくれ!これ以上、山姥を怒らせるな!!」
美藤さんは珍しく、声を荒げた。それを亜紗子さんは宥めようとした。
「亜紗子・・・お前も思うだろ・・・。この者たちがいると、村が荒れる。だから一刻も早く、この村を出て行ってほしいと」
亜紗子さんは動揺した顔つきだった。
「あいつらのせいで、お前の大事な仲間だって死んだのじゃ。ちょっとくらい、殴ってやってもいいんだぞ?」
扇子で顔を隠しながら美藤さんは笑った。