大江戸妖怪物語
雪華はさらに続けた。
「村を発展させたのも、村人たちを肥えさせて、おいしく食べるため。言ってしまえば、この村は山姥によって作られた人間牧場だ。村人は、美藤さんにとって食糧に過ぎなかったのよね。そして私たちが山姥退治をするためにこの村にやってきたせいで、あなたの生活が狂い始めた。だからどうにかして私たちを村から追いだすか、殺そうとしたってわけだ」
「へぇ~・・・。驚いた、すべてドンピシャといった所じゃ。そうじゃな、我にとってこの村の奴らは家畜に等しい。ああ、途中までタダで飯が食えていたというのに余計なことをしやがって・・・」
美藤さんは悪びれる様子もなく、普段のように見下した感じだった。
「まぁいい。我はお前らを殺す。それでいいじゃろ」
「おい、待てよ!」
叫んだのは源一さんだった。
「麻子を、麻子を殺したのは・・・お前なのか?」
「麻子だと?」
「俺の、俺の婚約者だよ!二十年くらい前に・・・殺された・・・」
「知らぬわ。まあ、我が殺したんだろうな。記憶にないが。それほどとりとめない軽い命だったんじゃろ」
「美藤・・・いや、山姥ァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!」
源一さんは美藤さんに掴みかかった。茶々は源一さんの体から落下した。
美藤さんの胸ぐらをつかみ、怒鳴りつけた。
「麻子を、麻子を返しやがれ!!お前のせいで、俺の時間は止まったままだ!!!!」
「離れろ、暑苦しい」
美藤さんは源一さんを思い切り投げ捨てた。
「源一さん!」
「我は楽しかったぞ、源一。お主が我に縋ってくる姿、実に滑稽じゃった。一刻の道楽をありがとうな」
僕は源一さんに駆け寄った。
「み、神門・・・」
「なんですか、源一さん?!」
「あいつを、あいつをぶっ殺してくれ・・・。頼む、頼むから!!!」
源一さんは涙を流しながら、僕の肩に手を置いた。