大江戸妖怪物語
「俺じゃあ・・・あいつを倒せねえ・・・。だから、あいつを、あいつを・・・殺してくれえええええ!!!」
僕の心臓が脈打つ。
「・・・・・・美藤さん・・・、あなたはもう終わりです」
僕は立ち上がり、美藤さんを見た。美藤さんは僕のことを見下げるように見つめていた。口角を上げながら。
「小僧が・・・我を倒せるかな・・・」
「僕があなたを倒します」
「やれるものならやってみるがいい!」
その声と同時に美藤さんは僕めがけて一直線に駆けてきた。刀が僕の首の横に突き出される。
僕は宙返りをしてその攻撃をさけた。あれだけ重い着物を着ているのに、その重量感を微塵も感じさせない。
「この下衆妖怪が・・・私相手に敵うと思っているのか・・・?」
怒り心頭の雪華はその言葉を美藤さんにぶつけた。
「雪女・・・あぁ、確かに上級妖怪じゃな・・・。だが、お主のようなガキに負ける気がしないのじゃ」
「そうね。たったの二十年しか生きてないけど、私はあなたを倒せる自信があるぞ」
雪華は右手と左手に冷気を纏った。白い煙が両腕を包み込む。
「冷空斬羽!!!!」
雪華は、白い煙で、両腕を鳥の羽のようなコーティングをし、美藤さんに飛びかかった。美藤さんはその攻撃を躱したが、右腕を掠めたらしく、顔を歪めた。雪華はすかさず冷気を取り払い、氷刀を持った。そのまま、美藤さんの体目がけて突進する。美藤さんは刀でその攻撃を受け止めた。
強烈な金属音がかちあい、不協和音を奏でる。
「美藤・・・とうとう、あなたを倒さないといけないようね。アタシ、手加減はしないから」
「ふん、ご勝手にどうぞ」
札埜は思い切り鉈で美藤さんを斬りつけた。しかし、目の前のところで交わされる。そして再度、札埜は切りかかった。札埜は十字切りの形で鉈を振り下ろしたが、美藤さんの刀によって、止められた。
「札埜ぉ、お主、憎くないのか?この村の人間を・・・」
「・・・・・・」
「思い出せ、札埜。神社が燃えて、我々の行く当てがなかったとき、こいつらは我とお主を見捨てたのじゃ。殺したいとは思わんかね?」
「・・・・・・・・・・・・思わない」
札埜は美藤さんと距離を取った。そして言った。
「そんなことしても、なんにもならないから」
「なんだと?」
美藤さんの眉がピクリと動く。
「美藤・・・。あなた、弱いわ」
「弱い?我がか・・・?はは、抜かしおるわい」
「アタシ、あなたぐらいにプライド高いのに弱い奴って、見たことないわ」
美藤さんの顔から、余裕の笑みが消えた。
「かかってきなさいよ・・・・・・・・・・・・・・・・・・この、ド雑魚がぁぁ!!!!!」
「・・・札埜・・・。あまりふざけたことを抜かすでないぞ?」
美藤さんの顔が怒りの顔になった。