大江戸妖怪物語
神門「はぁ~っ、たく、何なんだよあいつら・・・」
雪華「神門、お前指は大丈夫なのか?」
神門「ゆ、指って?」
雪華「お前の握力・・・尋常じゃなかったぞ」
僕はハッとした。そうだ、僕は今、何をしていた?
僕は自分の手のひらを凝視する。しかし、なんの変哲もない。
神門「・・・わからない」
今まで、自分の握力が強いなんて思ったことはなかった。そして、今もそうは思わない。何故、自分の握力が急に増したのかもわからない。
神門「でも、雪華も怪我とかしてない?大丈夫?」
僕は雪華の肩を掴み、覗き込むように雪華の顔を見た。
雪華「ああ。まぁ、何かしてきたらただではすまさないがな。まずはあいつらの爪を一つずつ剥いで言って・・・」
神門「やめて!想像しちゃう!!」
しかし実際に接触してみると、つくづく不気味な奴らだ。雀陽は尖った髭が特徴的な人物だった。末吉と芳吉は、意外と体躯がガッシリとしていて、力が強い。
僕らが部屋へ戻ると、やはり雀陽の大きい声が聞こえてきた。
雀陽「くううううぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!憎いね!!何だい、あの娘は!!!」
助吉「兄者のお誘いを断るなんて・・・」
芳吉「お、俺らだったらついていきますぜ!」
助吉「お、俺もだ!!」
雀陽「やめんしゃい!!男同士で、気持ち悪い!!!」
ガンと二発、音が響く。どうやら雀陽に子分二人が頭を拳骨されたらしい。
雀陽「まあ、いいでしょう・・・。いずれ、あの娘も私のものになるのです!!いや、あの娘だけじゃない、よもや日本全国津々浦々の美人娘を我のものにするのです!!!」
雪華「殺る」
雪華はその二言を呟いて、刀を持って部屋を出ようとした。
神門「だから、ダメだってば!!」
その雪華を再度止めた。
雀陽「美人娘だけじゃない・・・。国家権力も何もかもすべて私ののままに・・・!!だからこそ、あれを手に入れなければ・・・」
そこで雀陽はその話をやめた。そのあと、重要な情報を手に入れることはできなかった。