大江戸妖怪物語
神門「・・・?」
僕がゴロゴロ適当に寛いでいた時に聞こえてきた音がこれだった。
外の蔵の方から聞こえた。
蔵には外から入れない・・・つまり先ほどのお偉いさんが来た時に通った通路でしか蔵には行けない。
母さんは蔵には行かないし・・・。泥棒?
僕は意を決し、蔵へと向かった。
蔵の前に行っても、様子もいつもと変わらなかった。
鍵も閉まった状態だった。
ふと、僕は足元を見る。
神門「?」
なにやら、黒く擦られたような跡があった。
さっきまではなかったはず。僕はしゃがみこみ、その黒い痕を凝視した。
黒というか焦げ茶というか・・・その二つの色の間の色で焼け焦げている。
ずっと見ていると、一匹の蜘蛛がやってきた。さっき見た行列を成す蜘蛛だった。
その蜘蛛は黒い擦り痕をじーっと見ていた。
神門「誰かが燃やした・・・放火魔?」
おそらくそうであろう。一体誰が?母さんはめんどくさがりだからな・・・。
となると、だれか別の人が侵入してきたことになる。母さんはこの蔵に通じる通路がある部屋にいたし・・・
・・・密室。
僕は怖くなったので、小走りで部屋へ戻った。