大江戸妖怪物語

黒龍「なーんか久しぶりかもー」

雪華「お前は洗脳されてたからな」

そういいながら僕は宮殿の中を歩く。

泰山王「ふ~。やっぱり御薬袋霧雨より泰山王の方が僕には性に合ってる。着替えてスッキリした~」

霧雨さんこと、現在は泰山王さんはいつの間にか服を着替えており、冥界仕様の服に変わっていた。

泰山王「閻魔殿広すぎー。僕の館も、もうちょっと大きくしてくれないかなー。ねぇ聞いてる閻魔王様の第一補佐官サン?」

泰山王さんは雪華の顔を覗き込みながら舐めるように言った。雪華は泰山王をギロリと睨むと少々イラついた口調で話す。

雪華「お前の方にやる予算などない。そもそも、そちらに金がないのはお前の散財が原因だろう。亡者の苦しむ顔が見たいからとか、そういうアホな理由で拷問器具に金を費やしやがって・・・」

泰山王「雪華ちゃんはダメだなぁ~。僕みたいなタイプじゃないと冥界・・・この地獄という所では生きていけないよ?」

神門「あ、あの~、閻魔殿ってここのことなの・・・?」

雪華は僕のほうに向きなおって答えた。

雪華「ああ。私たちが今ここにいるのが閻魔殿・・・。閻魔王様が裁判を行いさらに寝食などの生活をしている」

泰山王「ちなみに僕の館もここから繋がってるよ~。まあちょっと遠いけど~・・・。しかもこんなに大きくないんですけど~」

口を尖らせる泰山王さん。しかし、先ほどの話を聞いていると、謎の器具を買い漁る泰山王さんが悪い気がするが・・・。
話しているうちに閻魔王のいる巨大な扉の前に到着した。扉の前にある大階段を上る。

雪華「では神門はここで待っていてくれ」

神門「え?入っちゃダメなの?」

泰山王「入ってもいいけど、閻魔の機嫌を損ねたら一瞬にして消されるよ」

神門「ひぃええええ!?!?」

僕は泰山王さんの言葉に震え上がった。

雪華「あまり脅すな。閻魔王様に謁見できる人物は限られているのだ。まだ、神門は謁見できる者ではない」

神門(あ、そういうこと・・・)

やはり冥界のトップにはなかなか会えない。現世で言えば将軍のような存在だ。それなら簡単に会えるはずもない。

雪華は扉をノックすると、失礼しますと言って中に入って行った。そのあとに泰山王さんも続く。

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