大江戸妖怪物語
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雪華「失礼します」
雪華は閻魔王が待つ部屋へノックして入った。さらに雪華の後には泰山王が続いた。
雪華は幅広い絨毯の上をツカツカと歩いた。
??「君は、生きている間にどんな罪を犯したんだい?」
部屋の最奥部、そこに鎮座する男は自らの下にいる男に問いかけた。
亡者「お、俺は、・・・俺はなんもしてねえ!!」
??「嘘はよくない・・・・・・」
明らかに空気の違う神々しさのようなものを持った男は、自ら椅子を立ち上がり、数段ある階段を下りて男の顔の前に自分の顔を寄せた。
??「全部わかってるんだよ?君が犯した罪・・・じゃあ、この鏡にでも映してあげようか。君が現世で犯した罪をね」
亡者「あぁ!?うっせぇ!この・・・!!!」
亡者はその男に噛みつこうとしたものの、両脇を獄卒に捕らわれているためにそれはできなかった。そして男はクルリと背を向ける。
そして鏡に映り出したのは、暴れている生前の亡者そのものだった。
泰山王「浄玻璃の鏡・・・か。あれって、結構精神的に来るよね~。僕も欲しいけど、あれを使っていいのは閻魔だけだし~」
浄玻璃の鏡。それは亡者が生きていたころの映像を映し出すものである。過去に犯した罪、それと同時に生まれてから亡くなるまでの一生をみることができる。
映し出された映像は、江戸の小さな小屋で酒を酌み交わす二人の男。
亡者「お前には感謝しているよ」
男「感謝だと?馬鹿なことを言う」
亡者「このご時世、金を簡単に貸してくれる奴なんていねぇよ。さすが実家が商人をやっているだけある」
男「困っている人がいると放っておけない性でな」
男はそういうと御猪口の酒をくいっと飲んだ。喉仏が上下する。
亡者「見てくれ。今日、いい酒を他人から譲られてな。金を返すと同時に、このうまい酒をお前にも味わってほしかったんだ」
亡者はそういうと男の御猪口に自らが持参した酒を流しいれた。
男「では頂くよ・・・・・・」
男が酒を口に運び、胃に入れた・・・そして数秒後。
バリーンッ・・・・・・
男の手から御猪口が落下した。
男「が・・・は・・・・・・ッ・・・・・・!!!お前・・・・・!?・・・何を入れた・・・・・・・!?!?」
亡者「・・・返す金なんてねーよ」
男「あ・・・ッ・・・・!?」
亡者「お前からもらった金も賭博で全部パァだ」
亡者は男の懐を漁った。
男「や・・・めろぉ・・・・!!!おぶッ・・・・・!」
男の口からは唾液のようなものが溢れだした。
亡者「なんだと、有り金ゼロか・・・。まあ、いい。これ、お前さんの家の鍵だろ?お前の家にある金目のものは頂いていくからな」
男「ぐぇ・・・・・」
男は一瞬のうちに眼から光が消えた。そして、そのまま力尽きた。