大江戸妖怪物語

桂木「あはは~怖い怖い。馨くんってば、何様?」

馨「はい~出ました。桂木さんの上から目線~。・・・No.1に胡坐かいてると、すぐ抜かしちゃうよん?」

口角を上げながら微笑する馨という人物。馨はさらに桂木を煽る。

桂木「・・・では、これで朝礼を終わりにするね~。そうだ、紅。あとで俺の部屋に来てもらっていい~?」

神門「はい、わかりました・・・・」

なぜ僕だけ呼び出されたのだろう。遅刻したから!?それなら絃もそうだし・・・

とりあえず、考えてもしょうがない。僕は桂木のいる部屋へ入った。

中には琉堂と桂木。桂木は椅子にすわり巨大な机の上に肘をついていた。

桂木「やっほ~。まあ、いいや。来て~」

そういうと桂木は僕を手招きした。僕は近距離で桂木と向き合う。なんだこの緊張感は。

桂木「はいコレ~」

何かの写真を手渡される。そこには・・・

神門(え・・・?)

その写真は、昨日僕が刃派に帰って家に入ろうとしているところだった。

神門(なんでこの写真を・・・?)

桂木「調べさせてもらったよ。キミ・・・刃派を経営してるんだってね」

神門(な、なんでバレたんだ?確かに本名は名乗ったけど、半日で身元がバレるなんて・・・)

桂木「それでね、気になったんだけどサ。なんで刃派の経営者がこの月桂樹にいるのかなぁー?っていう単純な疑問が浮かんじゃってェ」

神門「そ、それは・・・・・・」

桂木「刃派はそこそこ儲かってるみたいだし、経営難でここに働きに来たっていうのはナイし~?じゃあなんでこの店に来たのかな~って」

桂木は笑っているものの、その笑顔が贋者であることなど容易に推測できた。おそらく、桂木の中では、僕は大層怪しまれているのだろう。

桂木「昨日、カンタンに採用してくれたから、ココの警備ユルユル~って思ってたでショ?でもネ、こうやって裏で情報収集とか頑張っちゃってるわけよ~?」

僕の笑顔が引き攣る。そして、僕が思いついた返答、それはひとつだった。

神門「じ、実は・・・・!!はい、私しめ、刃派のものなのですが・・・・。そこそこ売上もでてきたので、別事業にも手を出そうかなッと思いまして!」

完全に怪しまれてるだろうなー・・・。

神門「桂木さんに黙っていたのは申し訳ないと思ってます!ただ、この月桂樹という素晴らしいい陰間茶屋・・・ホストクラブで働いて、独立したいと思って!!!!」

ああー、なんかもうデタラメなことを言っている気がする。
< 304 / 328 >

この作品をシェア

pagetop