大江戸妖怪物語
?「まったく、捜査の邪魔はしないでいただきたいものだ」
ガリとマッチョの前・・・いつの間にか僕の前に立つ男が言った。
いつ僕の目の前に現れたのか。
その顔は色白で、病弱そうなイメージかと思いきや、しかし切れ長の目は威圧感がある。切りそろえられ、しかし無造作に遊ばせている髪は藍色で、そして左側の前髪の横のあたりの髪を三つ編みにしている。なんというか、美形だった。
服装は警察官だが、ガリやマッチョ、の服とは違う。あきらかに身分が違う服だ。
警察官「ふ・・・不動岡さん?!」
警察官「どうしてこんな所に・・・?!」
ガリとマッチョはその男を見ると、驚いた表情をしていた。不動岡という男は、僕に向かって話しかける。
不動岡「俺は江戸の警視庁のトップ、不動岡だ。あまり捜査の妨害をしないほうがいい。逮捕されても知らぬぞ。今回は許してやるが、次はそうはしない」
笑顔という動作が全くない不動岡と言う男は、そういうと現場検証されている黄色いテープの中へ入っていった。
警察官「かっこいいっす・・・不動岡さん!」
マッチョは感動し、両目から涙を流している。
警察官「不動岡さん素敵だ・・・。ほら、お前はさっさと帰りやがれ」
イヤミなガリにしっしっ、と追い払われ、僕はその人だかりから距離をとった。
その時、僕の視界の端に銀色のモノが動いたのを、僕の瞳は見逃さなかった。
その銀色の髪を持つ少女は僕に対し、背を向けて歩いていたが僕に気づいたのか振り返った。
銀髪娘「野次馬?暇人ね。ひきこもりでもやっていたからこんなに早く現場に来れたのかしら」
神門「僕はヒッキーじゃない」
そっちこそ暇人じゃないか、と思ったが口には出せず。
銀髪娘「死んだのは、小平泰造ね。彼は官吏だから、彼が亡くなって明日は大騒ぎじゃないかしら」
淡々と話すその口ぶりは、全くといって、同情の2文字も無かった。
僕はその様子に少し苛立って、キツめの発言をしてみた。
神門「もしかして、お前が殺したんじゃないのか?」
銀髪娘「はぁ?」
僕の言葉をまるで理解できないという感じで聞く銀髪娘。
銀髪娘「・・・脳みそあるわよね?」
神門「あるわ!!」
僕は怪訝な顔つきの銀髪娘を睨んだ。