大江戸妖怪物語
鼻血が止まらない(むしろどんどん大量に出てくる)僕に対し、釛はあたふたしている。
神門「とりあえず甘深楽へ連れてってくれ・・・」
釛「わかったわ!」
僕の左足を釛の右肩に。
僕の右足を釛の左肩に。
そのまま釛は僕の両方の足を持って、引きずろうとしている。
しかし、左右が逆だ。
このままでは、クルっと一回転し顔を地面に引きずられるという形になってしまう。
神門「ちょっ・・・釛・・・足が逆、ちょっとタンマ・・・」
僕が言い終わるまでに釛はスクッと立ち上がり、
釛「甘深楽まで私、頑張るから!」
と、決意表明演説を軽くした。しかし、その決意表明演説は僕にとっての地獄の始まりを意味していた。
釛「レッツゴー!」
意気揚々と歩き出した釛。
僕は足が交差したまま耐えようと思ったが、背中に鋭い小石が刺さり痛みに悶えた瞬間に、僕はクルッと半回転した。
神門「ぐぎゃあああああ!!!!顔がぁぁぁああぁあたたたぁぁ!!」
焼けるような皮膚の痛み。
さっきのように鋭い小石が僕の顔に傷をつけた。
僕の断末魔の叫びが届かないのか、釛は歩くのを止めない。
きっと僕の叫びは、『鼻血』によって出ていると思っているのだろう。
違う、違うんだ。