大江戸妖怪物語


釛「そんなに自分を卑下しないでよ。神門は魅力的だから」

僕は恥ずかしくなり、視線を落とした。

僕の首に腕が回ってきた。

神門「?!」

迂闊にも油断した。

釛「好き」

耳元で紡がれた言葉は、僕を赤面させた。


腕を回され、なすがままの僕は数秒ほど腕の中にいた。

?「・・・雪降りし 逢魔が時 散華なさった 白百合の」

どこからともなく歌が聞こえてきた。

?「一輪咲く 氷柱には 氷の花弁 ハラハラと 舞堕ちてゆき 舞上がる 雪化粧した わが都」

澄んだ声だった。

釛「チッ・・・人間の邪魔が入ったか」

釛は舌打ちし、いつもない低い声で呟いた。
釛は回されてた腕を解き、僕の顔を凝視する。

神門「な、何の歌?」

釛「彼女欲しくなったら言ってね!私、いつでもなってあげるから」

神門「お、おい、釛!」

僕が呼んだ時には釛は曲がり角を曲がっていった所だった。


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