空耳此方-ソラミミコナタ-

同時に振り返る二人。
視線の先には言乃。


まぶたがピクリと動いて、ゆっくりと、目を開いた。


「「ことのん!!」」


合わない視点が声を頼りに二人へ焦点を定めた。


「…恵、ちゃん………炯斗くん……?」

言乃はベッドから体を起こした。

「ことの――」

「ことのん!」


トン、という軽い衝撃に、言乃の背が後ろの壁に預けられる。

「ごめんね、ことのん………ごめん…」

腕の中では、炯斗を遮って飛び込んだ恵が泣きじゃくっていた。

驚いて見上げれば、行き場のない手を慌てて引っ込めた炯斗と目が合う。
ニヤッと笑うと顎をしゃくって恵を示す。


ほら、恵を見てやれよ。随分心配してたんだぜ?


言乃は驚いた顔まま恵を見下ろすと、そっと恵の手を握り、微笑んだ。

こんなに、心配を掛けてしまってたんですね

「ごめんなさい、恵ちゃん」


恵はハッと顔を上げたと思うと、みるみる涙がたまる。

「…グズッ……うう…うわああん…!」

声を上げて大泣きしだしてしまった。

「え?えぇ!?」

炯斗に助けを求めるが、流石の彼も苦笑いだった。


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