本と私と魔法使い
―…

児童養護施設、ひまわり。
「ほら、朝だよ。みんな、起きてー」

わたしは布団にくるまってまだ寝ている子達を揺り起こす。

「やだ、ちあねぇちゃん。学校、休むぅうぅ」

「だーめ。学校はちゃんと行かなきゃ、美晴ちゃん。ほら、大輝も広太も…朝ごはんに遅れるよ」


わたしが叱ると、

「はぁーい」


ぱたぱたと布団の中から、小学生組の皆が出ていく。
施設でいつのまにか一番年長になったわたしはみんなを起こすのが日課になっていた。


「おはよう、千亜姉」

わたしは後ろを振り向く。
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