本と私と魔法使い
「鈴夏ちゃん。…おはようー」


鈴夏はわたしと施設の中で一番年が近い。


「いつもお疲れさまー」

「何言ってるの!!鈴夏ちゃんもわたしがいなくなったらやるんだよー?」


わたしがたしなめると、

「まだ二年ちょっとあるじゃーん?」


けらけら笑いながら、鈴夏が言う。


「…まぁ、もうすぐ…いなくなるかもだけど…」

わたしは小さく呟いた。

「なにー?」


鈴夏は聞こえなかったようだ。わたしは、なんでも、と笑った。



―…
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