Tolie.
悪夢
『 美優、 』
寝ていた私は飛び起きて
声のする方へ目を向ける。
いつもと変わらない、薄い黄色の
カーテンを見つめながら、
溢れそうになる涙をぐっ、と堪えた。
『 ・・美優、俺・・・ 』
久しぶりに聞くその声は、
弱々しくて、掠れていて
耐え切れずに溢れ出した
涙が私の頬を伝っていった。
『 ・・・・俺、さ・・ 』
返事なんか、できなくて。
たまらなくなって私は
ベッドから降りてよたよたと
隣のカーテンの傍まで歩いて
ぎゅっ、と端を握った。
『 みゆ、う・・・ 』
その瞬間、背筋を何かが通って
反射的にバッ、とカーテンの
内側に入った。