短編集
「ありがと。さ、あがってあがって」
「汚れててすいませんがおじゃまします」
いったいどんな人なのだろうか?とにかくそれだけが気になる。
「ここよ」
と階段を上がってすぐの部屋に案内された。
「入るわよー」
「うん」
返事を聞くなりドアノブを回し、中へとはいると、ベッドに寝ている女性、いや、少女がいた。
ベッドも病院のベッドのように状態を起こすためのレバーと、仮設テーブルが装備されている。
そう彼女は病人だったのだ。
痛々しいほど白く、体がやつれていて、瞳に輝きのない少女・・・ではなく健康的な肌の色で、体もしっかり(胸は別)としている。身長は低めだけど。それでも俺の高校の女子の中に混じったら、かなりの上位層に食い込めるほどの可愛さを持っていた。というか割と俺の好みでもある。
そんな少女の控えめな口が重々しく開けられ、静かに言った。
「初めまして君はホームランを打った人?」
「はいそうですけど」
「敬語はいらないよ。私と同い年のはずだから」
「そうか?ならそうするぜ?」
とベッドの近くに行ってしゃがみ話しやすいようにする。
すると人が変わったかのようにはしゃいだ声で、
「すごいな!何でそんなに飛ばせるの!?」
と目を輝かせながらベッドから身を乗り出して聞いてくる。