短編集


グラウンドに戻ると試合は4回の裏でスコアは10-3俺たち学校が7点差で勝っていた。そしてベンチに戻ると鬼監督ににらまれ、

「大丈夫だったか?」

「窓を一枚割ってしまいました」

「しっかりと弁償するんだろうなぁ?」

「もちろんです」

金ではなくあの約束でだけど。それを聞くと監督のきつく閉じていた口がふっと緩み、

「ナイスバッティング」

そう一言ぽつりと言った。それが嬉しくて嬉しくてたまらなくなった。

「ありがとうございます!」

「だが、人様の窓を壊してはいけないからな?気をつけろよ」

「はい!」

「あと帰りは居残りでグランド整備な」

「・・・はい」

やはり居残りはやらされてしまうのか。でもまぁ仕方ないだろう。そういえばこのグラウンドって桜の家見えたよな。

ふっと俺がホームランを打ちこんだネットの向こう側を見ると、やはり家は見える。しかし少し距離が遠すぎて肉眼ではよくわからない。でも桜が眺めている気がした。

・・・・そういえば結構今日結構寒いのに窓割れていて大丈夫なのか・・?

そんな罪悪感を残しながら試合を見ていた。


     〇


今日の試合はあの後14-3で大勝だった。ちなみにコールドは練習試合なので無しとなっていた。



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