短編集
と先生が小脇に抱えていたプリントのはいった袋を受けとると、先生はぱたぱたと小走りでどこかへ行ってしまった。
「べつに今日じゃなくてもよかったんじゃないかなー・・・」
先生への文句の独り言を漏らし、下校を開始した。
××
はい。というわけで茜下君の家に到着。わが家から10秒でつけるため苦労はしない。お隣さんだから。
なんていうか、いくらクラスメイトとは言え、あまり面識のない人の言えにいくことは緊張する。何度も深呼吸をしてインターホンを押した。
頼むから本人がきてくださいよ!
すぐにバタバタと乱暴な足音が近づいてきて、つい身構えたが、扉は乱暴に開かれることはなく、むしろ針に糸を通すときのように、優しく、丁寧に、慎重に開いたことに、拍子抜けしてしまった。
「はい?」
扉をあけて、なかなかのイケメンボイスを控えめに出しながらでてきた人は、185cmくらいのすらっとした男性で男子にしては長い後ろ髪と前髪はカチューシャを使ってオールバックの髪型だったが、違和感はなく、むしろ似合っていた。さらに、目は鋭いが、どこか優しげな雰囲気もあり、輪郭もバランスがとれていてきれいだ。