短編集
「あ!いつも通りだ」
「まぁゲームやってるときに・・・ってやば!」
「どうしたの?」
「ゲーム放置しっぱなしだ!なんか他に話あるならあがってくれ。ちょっと時間無い」
「じゃお邪魔します」
茜下君ってこんなに話したりする明るい人だっけ?と思いながら家の中にあがり、カチューシャで前髪をあげながら歩く彼の後ろを歩く。
階段をあがり半開きになっていた厚い扉を開け部屋に入ると、そこには一面女の子のポスターが貼ってあり、きれいに並べられたフィギュアや漫画、小説が置いてあるヲタク部屋などではなく、至って普通・・・でもないな。
部屋は壁側に並ぶ本棚とタンス。窓の近くには電源の入っているPCとヘッドホンとマイク。そして床は黒いカーペットの上に小さめの丸机があり、本棚などの向かいの壁際にベッドが配置されていた。
それだけならまだ普通なのに部屋はまだまだスペースがあった。そこにはきれいに手入れされている、電子ドラム、エレキギター、ベースにキーボードさらにはシンセサイザーまである。
そこまで部屋を見渡すと茜下君は、PCの前に座りヘッドホンをしながらマイクに向かって話し始めた。
「わりぃ!もう始まってたか」