大人的恋愛事情
 
「繭の作るそばが食いたい」



掠れた声を出し、ベッドで横を向きながら、枕に半分顔を埋めて横目で私を見上げる。



私が作るそばが好きだった圭。



昼もよく食べるのに、夜くらい違うものを食べようと言っても、いつも私が作るそばを食べたがった圭。



それは一瞬にして一年前に時間が遡るようで……。



「そばとかない」



出来るだけ冷たく聞こえるようにそう言うと、枕に顔を沈めながらふっと笑う。



「じゃあいらねえ」



「いらないって、なにか食べないと……」



「そば以外食わねえ」



そんなことを言って、私から背を向け反対を向く圭は、いつもこんな調子で我が儘を言う。
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