大人的恋愛事情
 
「受付です。……佐野さんは具合が悪いようで早退されます」



なんて言う受付嬢が綺麗な顔で悪戯な笑みを見せ、相手に聞こえないように受話器に手を添えた。



「おめでとうございます。佐野さんよかったですね」



その言葉に思わず溢れる涙は、きっと一生忘れない。



「企画にも連絡入れておきますよ」



そう言ってくれる受付を後に、藤井祥悟に腕を引かれて正面玄関を出る為歩きだす。



今さらだけど社内速報も悪くないなんて思えてくるのは、そんな私達に掛かるひやかしの声や祝福の声。



その声の中社外に出ると、冷たい風の中私の腕を掴む藤井祥悟がそれを手に持ち替えた。



「どうする?」



「え?」
< 518 / 630 >

この作品をシェア

pagetop