大人的恋愛事情
「受付です。……佐野さんは具合が悪いようで早退されます」
なんて言う受付嬢が綺麗な顔で悪戯な笑みを見せ、相手に聞こえないように受話器に手を添えた。
「おめでとうございます。佐野さんよかったですね」
その言葉に思わず溢れる涙は、きっと一生忘れない。
「企画にも連絡入れておきますよ」
そう言ってくれる受付を後に、藤井祥悟に腕を引かれて正面玄関を出る為歩きだす。
今さらだけど社内速報も悪くないなんて思えてくるのは、そんな私達に掛かるひやかしの声や祝福の声。
その声の中社外に出ると、冷たい風の中私の腕を掴む藤井祥悟がそれを手に持ち替えた。
「どうする?」
「え?」