crocus
誠吾くんは目を瞑り、うんうんと頷いて深く納得した素振りを見せた。
「逆にクロッカスで神経が正常って 個性的だよね!雪村·まとも·若葉ちゃんだね」
シン……と静まった空気。誠吾くんは、あれー?と首をかしげている。ツッコミスキルが未修得ですみません。
それにしても、ちえりさんの言い方からして……
「ちえりさんは、オーナーさんをご存知なんですか?」
「ん?あぁ、ご存知だよ。あいつがまだ『男の子』の姿をしてたときからな。もう12、3年くらいの付き合いになんのかなぁ……?今日は店にいんの?」
「今、オーナーさんは、ペルーに買い付けに行ってていないんです」
「ペルー!?ってことは、おい、誠吾。手ぇ出しほうだ……」
「ちー!!えーりーさーん?もう、立ち話はいいからさ、そろそろ収穫したいなぁー!!?
目が笑っていない誠吾くんは、瞳でちえりさんに何かメッセージを送っていた。
ちえりさんは、からかうことを愉しんでいる目を見開いたまま、手で口を隠してプププと笑った。