crocus

しっかり誠吾くんの手を掴んでいた若葉だったけれど、相手は男の人だ。強い力で振り払われれば、あっさりとすり抜けてしまった。

誠吾くんは一瞬哀しい顔を見せて、入り口の方へ走り去ってしまった。

双子さんに向かって深く一礼して、誠吾くんの後を急いで追いかける中、若葉は自分に問いかけた。

やっぱり誠吾くんの手を引いて一緒に逃げるべきだったかな?

心配だ、心配だって言って、今一番傷つけたのは、私の行動?

どうすることが……正しかったんだろう。


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