crocus
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「ふぅ~…。さっぱりしたぁ~」
お風呂から出ると思わず漏れた感想。
思えば昨夜のどしゃ降りの分も洗い流したのだ。スッキリした若葉はオーナーに買ってもらった下着や衣服を身につけていく。
「──ははは!だってさー…」
この声は琢磨くんだ!男性陣を待たせていることが分かれば支度を急いだ。
「すみませんっ!お待たせしました!」
テレビの前のテーブルを囲むように湯上がりの5人が待っていたのだが、妙に色っぽくて若葉は頬を染めながら謝罪した。
「大丈夫よー…って!髪、まだ全然濡れたまんまじゃねーかよ!」
「ほんほぉらー!」
ピースしながら返事をした上田さんの驚く声に、上矢さんがアイスを食べながら若葉の頭を見た。
「あ、お待たせしちゃ悪いと思ったので…。大丈夫です。そのうち乾きますから!」
肩に垂れている濡れた髪を触りながら笑って明るく言うと、琢磨くんが顎を手のひらに乗せテーブルに肘をつきながら軽く叱ってくれる。
「ばーか!そんなん気にしなくていいから、戻ってドライヤーしてこいよ。いつも俺らここでたむろしてから帰ってんだし!なっ?恵介!」
「なんで僕に振るかな…」
若葉からは見えないが、琢磨くんのニッカニカの笑顔とは正反対に、橘さんは恨みがましい表情をしている気がする…いや、そうに違いない。しばらく間が空いたあと、1つ深いため息をついた橘さんは振り向かずに手を振る。
「まぁ、そういうことだから。行ってきなよ」
その言葉に他の4人の男性陣がふわりと優しく笑うものだから、若葉はなんだか胸に熱いものが宿ってしまい、瞳を潤ませながら礼を言った。
「あ、ありがとうございます!すぐ戻りますね!」
「感動屋さんだね~」
「感受性が豊かなんだろうなー」
上矢さんと上田さんの言葉に照れてしまって、潤みそうだった瞳はすぐに引っ込んだ。
「行ってきます…!」
ぎこちなく足を踏み出してパタパタと再び女湯へ向かった。