好きで、好きで、好きで、私が私じゃ、無くなる。〔完〕
「和くん…不運だよねえ、今考えると」

「え、どういう」

「事故だったのよ。よく分からないけど、喧嘩して、たまたま相手の打ち所が悪くって。和くん、むっちゃ強いからね」

「で、死んじゃったの?」

「死にはしないわよ」

美紀は笑いながら、空を仰いだ。


「でも、死んだに近いかも」


澄んだ青にぽつんと飛行機が横切っている。

美紀は少しの間、その飛行機を目で追いかけた。


「目が見えなくなったの」


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