あの子の好きな子



「そ、それで・・・久保さんは、別の、誰かのことが好きで・・・、その人と広瀬くんは、仲良しなの」
「・・・ああ」
「その人は・・・広瀬くんと仲良しなんだけど・・・久保さんに好きって言われちゃったら・・・その・・・もしそうなったら、どうすればいいのかな」

心臓がドキドキして、変な汗が出る。なにかおかしい。私は辻くんの話について少し相談しようと思っていたはずなのに、広瀬くん問題の方の核心を突く質問をしてしまった。どうして私はこんなひどい例え話をしてしまったんだろう。机から目が離せない。

「別に、どうもしなくていいんじゃない」
「・・・え?」
「そいつがしたいようにすれば」

広瀬くんは興味なさそうに言った。私はやっと広瀬くんの顔を見ることができたけど、つまらなそうなその顔を見て、やっぱり不安になった。

「そいつが、お前なわけ?」
「え?」
「お前の話なんだろ、これ」
「・・・・・・」

これは、何の話?
辻くんと加奈ちゃんと私の話?
最初はそのつもりで話していたけど、今は・・・

「・・・・・・広瀬くんは・・・」

心臓の鼓動が大きくなったまま全身に脈を打っている。どうしよう、聞いてしまおうか。例え話としてなら、聞けるかもしれない。




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