夫婦ごっこ
「みんな治の部屋に集まってるから
紅も行こうぜ。」

だいたい治の部屋にたむろしているから
私は何も疑わずバイクの後に乗った。

爆音に耳が難聴になりそうだ。
いつまでもこんなこと
してたって……

そろそろ考えないと……。
こうしてバイク乗ったり
仲間とバカやったりしてるのも
最近情熱もなくなってきていた。


「っす~~。」
治の部屋に何も疑わずに
足を入れた。

「あれ…誰も…いない…よ。」

私はバイクの持ち主の隆弘を振り返った。

「え………?」

隆弘はいつもの隆弘じゃなかった。

「いい加減さ…空気読めよ。
いいだけ足にしてるけど……。」

足が震えて来た。

「何?空気って……。」

「たまにはさ…いいじゃん…。」

隆弘が近づいてきた。

「ちょっと…やめてよ……。」

隆弘は私を壁に押し付けて
キスをしようとした。

  やだ…こいつとするの…

私はこのピンチをどう切りかえすか
考えた。
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