キミ色季節。【完】
「なんで教えてくんねぇの?」
案の定、いた。
「…なんでって言われても…」
“嫌”だから?
仮にも先輩だし
言っていいの?
「メアド教えろよ」
「やだ」
「なんで」
「やだから」
「だからなんで?」
「…」
めんどくさいな…
「…離して」
「やだ」
麗さんが腕を掴んで離さない。
「いた…」
力の入っていく手。
「公園、行こ?」
「やっ!行かないっ!」
振りほどけないっ
こんなに細いのに
力だけはあるなんて…
「やだっ離してよっ!」
抵抗も虚しく
家の前をズルズルと
通り過ぎていく。
「た…くみぃ…」
無意識に漏れた名前を
麗さんは
聞いたのか、
聞かなかったのか、
公園の入り口で
足を止めた。