パラドックスガール
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『あれだろ、全然笑わないやつ。
なんか人形みたいだよな。』


知ってるよそんなこと。
何度も何度も言われた言葉だから。
でも、何度も言われたからって慣れるわけでもなくて。


『なんであんな子が』


そういうのには耐えられる。
だって、側にいてくれる人間がいるもの。
側で笑ってくれる人間がいるもの。

でも、あれは違う。




あたしは『人形』なんかじゃないのに。




まるで人間としての"あたし"を否定されたように聞こえて、心臓がえぐられるような感じがした。





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