あくまで天使です。


一瞬、ぎくりとしたが構わず足を踏み出そうとする。


だが、「見てるぜ」と言わんばかりに月緋の視線は一向に離れる気配を見せない。


口元を緩められているのに目が笑ってない。笑えない表情だ。


だらだらと自然に冷や汗が滝のようにあふれ出し、べリアルは動けずにいた。


試しに右に一歩動いてみるが、彼女の無笑の瞳は纏わりついてくる。


………いやないないないない。今力ついてるよな?その証拠にだれ一人この俺様に気付いていねぇし。


たった一人だけ、気づいているのかもしれないが、絶対にとは言い切れない。


男性がべリアルにうなじを見せ、「どうしたんだい?」と月緋に話しかけた。


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